梅雨の長雨に続いて、日照りによる高温多湿が続いている真夏の時期。バラの葉が縮れたり葉を落としたりしていませんか? それはバラの夏バテ症状です。暑い最中はそっとしておくのが一番、と手当てを先延ばしにしてしまう方が多いですが、じつは対処は早ければ早いほうがベスト! 手当てが遅れると来春の開花にまで影響してしまうことも。今すぐ行いたいバラの緊急回復テクニックをご紹介します。

 

目次

 

バラの夏バテ症状には即対応がベスト!

あなたのバラは今どんな状態ですか? 葉が縮れたり、黒点病が蔓延していたり、ほとんどの葉が落ちてしまったなんていう株もあるかもしれません。それは、バラの夏バテ症状です。そんなダメージを受けている株を前に「暑さがおさまるまで何もできないなぁ」と「様子見」にとどめているケースが多いようです。しかし、暑さがおさまってから手当てを行ったのでは、秋のバラはほとんど期待できないどころか、来春の花にまで悪影響が及んでしまうことも。秋まで対処を先延ばしにされたバラは、気温が安定してきた晩秋にやっと新芽を少しずつ吹いてくるかもしれませんが、完全復活する前に冬に突入してしまうため、翌年の春に不調を持ち越してしまうケースもあります。

春とは違った美しい花姿が楽しめる秋咲くバラたち。

夏バテのバラを「様子見」でやり過ごしてしまうケースが多いのは、暑い時期に手入れすると、かえってダメージになる、という理由からではないでしょうか。しかしダメージがひどくなるのは、手当ての方法が正しくないからです。正しい回復法を1日も早く行えば、再び葉を茂らせて、素晴らしい秋バラの開花も期待できます。また同時に、来春の開花までに、よりよいコンディションの株に育てることもできるのです。

 

表土のカチカチ化によるバラの脱水症状

水やりや雨によって、ぎっしり土が詰まっていると空気が根に届きません。

まずは鉢植えも庭植えも、バラの株元の土の状態を確認しましょう。表土がカチカチに固まってはいませんか? 日々の水やりや降雨による圧力で、何もしないと表土は少しずつ固まってしまいます。表土が固まった状態だと、空気が土中に浸透しづらくなり、根が酸欠状態に陥ってしまいます。また、地表付近の根が加熱によって茹であがり、健全な根が減少していることも、バラの脱水症状を引き起こす原因です。

人が暑いときに汗をかくのは身体を冷却するためですが、バラも同様に葉から水分を蒸発させて株を冷やそうとします。ですから、暑いときはどんどん水分を蒸発させるため、土中の水分を根から急ピッチで補給する必要があります。しかし、バラが急ピッチで水を根から吸い上げるのには、十分な空気も必要とします。ちょうど、人が走った時に「はぁはぁ」といって息をたくさん吸い込むのと同じように、バラも活動を活発化させるには空気が必要なのです。なのに、表土が固まっていると、十分な空気が土中に足りずバラが酸欠状態になり、さらに熱で根が減少しているのですから、結果として水分補給が間に合わなくなってしまいます。

逆に、大切なバラを気遣って頻繁に水や肥料を与え続けていた場合は、本来、水を探し求めて伸びる根が、成長することを放棄してしまいます。そうして甘やかされて育ったバラは、猛暑で緊急事態に陥っていても、根が水を求めて伸びていないため、葉への水分補給が間に合わず葉を落としてしまうというのも夏バテの原因になります。

 

要チェック!水やりしていても、吸収できているとは限らない!

ここで重要なことは、「十分な水やり=バラに足りている」ではないということです。夏の鉢植えバラでよくあるのは、葉がしおれていて水切れしているように見えるのに、土は濡れていているという状態です。これはまさに、水不足ではなく、「空気不足」と「根の減少」の典型例です。水はあっても、空気不足でバラに吸い上げる力がなかったり、根の量が足りないために、脱水症状を起こしてしまっています。

 

バラの脱水症状を回復させるには土壌改良が必須

葉がだらりと垂れて、水不足を起こしたバラ。

この空気不足の解消と根の量を回復させる方法は、カチカチの表土をシャベルやフォークでほぐすこと。水が浸透すると同時に空気が根に届くように改善するのが、夏バテ株の回復方法の一つです。これは鉢植えでも庭植えでも同様に必要です。庭植えのバラは地中深くに根が張っているので表土をほぐしただけではダメなのでは、と思われるかもしれませんが、水や栄養を吸い上げるのは地表近くに生えている根。ですから、空気不足を解消するためにはまず「表土をほぐす」ことが重要なのです。

バラの根が張っている範囲の表土をほぐせば、空気不足が解消されますが、一度ほぐしただけでは、また秋雨や水やりで再びカチカチになってしまいます。そこで、すぐに土が固まってしまうのを防ぐために活躍してくれるのが、堆肥などの土壌改良材。農家では、収穫が終わった段階で必ず堆肥をすき込んで土を耕します。それは、作物が栄養を使い切って固くなった「やせた土」を「ふかふかのよい土」に戻すため。バラも同様に、堆肥などの土壌改良剤をすき込んで土をふかふかにすることが夏バテ回復の近道です。

 

即効性がうれしいバラの夏バテ回復レシピ

「ふかふかのよい土」とは、「土の団粒構造を維持」することです。簡単にいうと、大・中・小の土の粒の間に隙間が空いていて、根が水分と酸素を無理なく取り込めて根が育つ環境をキープしている状態のこと。以下に紹介する3つの資材を組み合わせると、夏バテ回復に即効性のある「ふかふかのよい土」が実現でき、その状態を一定期間キープすることができます。

<稲ワラ馬フン完熟堆肥>

平田ナーセリーがこだわりの製法で作る「稲ワラ馬フン完熟堆肥」は、使い始めてすぐにベストな働きを発揮できるようにと、3〜6カ月かけて完全に発酵が進んだ状態なので、いつ使用しても根の生育を妨げる心配がありません。

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<夢油肥>

上記の「稲わら馬ふん堆肥」をベースに、バラに活力を与える油粕などを加え、善玉菌で発酵させた有機100%の完全オーガーニック肥料です。植物の成長に必要な多くの栄養素と、アミノ酸が濃縮されています。土の団粒構造の維持に加え、体力を落としているバラの株に負担をかけることなく、素早く栄養素を送り届けることができ、新しい根の発生を促してくれます。

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<土のお守り>

天然の白い粘土、モンモリロナイト(珪酸塩白土)をパウダー状にして土にブレンドしやすくした土壌改良剤です。夏バテで体力を失った根を刺激し、細根を早くに発生させるため、株の回復が早まる効果があります。また、土中にある雑菌などの不純物を吸着して土の中を掃除するなど、健全な土の状態にリセットしてくれます。

「土のお守り」のご注文はこちら

これらの「ふかふかのよい土に導く3つの資材」は、土づくりの研究を40年以上続けてきた平田ナーセリーオリジナルの資材から選ばれた夏バテ解消に最適のレシピです。土の状態を短時間で改善することに加え、いち早く新しい根を発生させることによって、通常の回復よりもより早くバラの夏バテを解消してくれます。

夏バテバラと土壌改良の手順についてInstagramでもご紹介しています。

バラの株張り(枝の先端がある位置)と同範囲の表土に、3種の資材を適量ばら撒いたら、表土5cm程度を掘り起こしながら資材をすき込みます。仕上げに水やりをするだけの短時間で、バラの回復をスタートすることができます。表土を掘り起こしているとき、根が多少切れても全体量のたった5%程度ですから心配は無用です。

 

一石二鳥!夏バテ回復&病気予防に液肥を葉面散布

さらに、夏バテ回復とともに秋以降の病気の予防にも効果的な一石二鳥のお手入れテクニックを伝授。それが、「葉面散布」。「葉面散布」とは、水に規定量の液肥を溶かして霧吹きなどで葉の表面にまんべんなくかけることです。病気予防と栄養補給を同時に行うことができるおすすめの液肥は、うどん粉病の防除効果もある「100%有機液肥プラス」と黒点病予防にもなる「菌の黒汁」の2種。バラに大敵の病気を予防しながら、土をふかふかにする効果も期待できます。

<有機100%液肥プラス>

「有機100%液肥プラス」は、トウモロコシを納豆菌など多くの善玉菌で発酵させた液肥です。葉の表面に付着させることで、納豆菌がうどんこ病の原因菌を蔓延させない効果があります。さらに、液肥を葉が吸収することによって葉録素が活性して光合成の能力が高まり、バテていた株が元気を取り戻します。

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<菌の黒汁>

「菌の黒汁」は、水と牛フン、光合成細菌を原料につくられた土壌改良材です。“有用微生物”が主成分で、葉の表面にかけることで黒点病の病原菌の付着を阻止。光合成細菌は光を嫌がる性質があるため土中に深く染み込んで、植物の成長に必要なチッ素を土の中に固定したり、アミノ酸やビタミンなどの豊富な栄養を生み出す働きもします。

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上記でご紹介したこの「有機100%液肥プラス」と「菌の黒汁」2つの液肥は、オーガニックなので取り扱いも簡単。液体を規定量混ぜて、1〜2週間に1度、水やりをするようにジョウロや霧吹きで葉にまんべんなくかけるだけ(使い方は上記動画をご覧ください)。液体に含まれている菌は、カルキ(塩素)でも減少しないので、家庭の水道水や雨水が使えます。

葉面散布で今茂っている葉を活性させながら、滴り落ちた液肥は、土中深くに浸透し、良い土の維持にも役立ちます。

さらに栽培環境を改善するSDGsなアイテム「ウッドチップ」

表土が露出したままだと雨や水に打たれて硬くなることで、栽培環境が悪くなることをご紹介しましたが、表土から受けるダメージを軽減させてくれる便利アイテムがあります。それがウッドチップ。真夏に日差しが直接当たる表土の温度は50℃以上になりますが、ウッドチップに隠れた土の温度は、30℃以下まで下がるという実験結果があり、バラの根にとってこの温度差は、天国と地獄のようなもの。バラの株元にウッドチップを5〜10cm厚で敷き詰めることで、表土の硬化を防ぐだけでなく、日差しによる表面温度の上昇までも防いでくれるのです。

さらには、雑草発生防止にも抜群の効果があります。真夏でも、常に土中がひんやりと適度な湿度を保つ天然素材のウッドチップは、間伐材を利用したSDGsな商品です。

「ウッドチップ」のご注文はこちら

つぼみが見えたら秋バラ開花まで嬉しいカウントダウン!

株元の表土には3種の土壌改良剤をすき込み、水やりのタイミングに葉面散布を施せば、効率的に夏バテからバラが回復できます。毎年、暑さを増す日本の夏では、バラの夏バテ対策は必須。この回復テクニックをマスターすれば、バラのダメージに都度心を痛めることもなくなり、バラ栽培のストレスから開放されます。

秋バラの開花も楽しみながら、来春の花のための準備もできるので、春以降、特に何もしてこなかった! というバラや、夏に不調続きで手の施しようがなかったというバラに、ぜひ取り入れてみてください。

記事作成:ガーデンストーリー https://gardenstory.jp

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